篠栗霊場創設者「藤木藤助翁の像」の左に『第59番田ノ浦薬師堂』がある。
藤助翁はやさしい眼差しで遍路を見守る。ちょんまげ頭、背には小さな荷袋、右手に金剛杖、左手に菅笠姿。
堂内は、金箔塗の本尊薬師如来、応病予薬、医王仏とも称される。脇仏には、日光・月光菩薩、旧石仏本尊を祀る。
もともと田ノ浦庵という寺で現守堂者の祖父木戸観善師が住職でだった。父の乗観も僧籍にあったが、昭和19年(1944)に八幡製鉄の徴用工として八幡にいた時に大空襲で亡くなったので祖父が97歳で遷化するまで住職を務めた。
堂の前には大正11年(1922)に造られた「瑠璃光の瀧」もあったが、今は水が枯れて往年の姿を見ることはできない。