62番より上がると右にお堂がある。『第18番恩山寺』である。
この札所の本尊は眼病平癒に霊験があり、目のお薬師様として近隣に知られている。そして快癒した信者がおかげを受けたお礼にと石仏が奉納され祀られる。
篠栗恩山寺の由来は、初代藤伍平<文政2年(1829)生れ>とアサ<天保2年(1831)生れ>夫婦には子供がなかった。仏心殊のほか篤い夫婦は明治5年(1872)、田畑を近隣の縁者に預けて諸国巡礼の旅に出た。本四国まで巡拝して篠栗に戻った。山手の平井家でお祀りされていた薬師如来を懇願して譲り受け、現在の地にお堂を建立、18番本尊として日夜大切にお祀りした。絶えようとした家が、お薬師様を奉安したおかげで跡継ぎに恵まれたと喜び感謝した。今は五代目がお堂を守る。